バイヤー手記
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第5回 福井出張 2日目
福井出張2日目の朝。 東京ではあまり見ることができない大雪に見舞われ、本当にこんな中で移動ができるのかと不安でいっぱいだった。 しかし、さすが雪国。 同乗させていただいた車は、雪道でも驚くほどスムーズに進み、無事に熊野九郎右ヱ門氏のアトリエへ到着した。 ガレージには雪が積もっており、ほんの数メートル歩くだけでも雪に足を取られ、冷たい空気が身にしみる。 それでもアトリエの扉を開けた瞬間、別世界が広がっていた。 室内には薪ストーブが赤々と燃えており、その柔らかな温かさが心まで温めてくれる。 大きく開いた窓からは絶え間なく雪が降り続いており、外の厳しさが薪ストーブの暖かさを一層際立たせていた。 氏のもてなしは、暖かさだけでなく、人格の大きさや懐の深さを感じさせるものだった。お話を伺ううちに、外の世界とは対照的に、心地よく穏やかな時間が流れていく。 今回の訪問の目的は、3月に実施する茶事のイベントで使用する抹茶盌のお貸出しについての依頼だった。 まだ2回目の訪問でしかない私の厚かましいお願いにもかかわらず、氏は熱心にイベントの詳細を尋ねてくださり、まだ確定していない部分も多い中、私の考えを丁寧にお伝えした。 すると氏は奥様に向かって「あの抹茶盌を持ってきてほしい」と頼まれ、一つの抹茶盌が私の手元に渡された。 現在店頭でお預かりしている抹茶碗は、どれも個性豊かな作品ばかりだが、今回用意してくださった抹茶盌は、表現として適切かはわからないが、まるで清楚で美しい女性を思わせる佇まいだった。 和やかな雰囲気の中、氏の若い頃の破天荒なエピソードや、歴史・地理への深い造詣、長年の研究から導き出された哲学についてお話を伺い、貴重で楽しいひとときを過ごすことができた。 また、別件として弊社が依頼しているTENOHA MILANOでの展示についても話題に上がった。 昨日、別のチームが訪問していたこともあり、その件について改めて問い合わせを受けた。 限られた情報の中で丁寧に説明すると、氏は紙と鉛筆を取り出し、現在金津創作の森美術館に展示中の七点の作品をスラスラと描き上げてくださった。 そのラフスケッチは、特徴がしっかりと表現されており、温かみと力強さを併せ持つ素晴らしいものだった。...
第5回 福井出張 2日目
福井出張2日目の朝。 東京ではあまり見ることができない大雪に見舞われ、本当にこんな中で移動ができるのかと不安でいっぱいだった。 しかし、さすが雪国。 同乗させていただいた車は、雪道でも驚くほどスムーズに進み、無事に熊野九郎右ヱ門氏のアトリエへ到着した。 ガレージには雪が積もっており、ほんの数メートル歩くだけでも雪に足を取られ、冷たい空気が身にしみる。 それでもアトリエの扉を開けた瞬間、別世界が広がっていた。 室内には薪ストーブが赤々と燃えており、その柔らかな温かさが心まで温めてくれる。 大きく開いた窓からは絶え間なく雪が降り続いており、外の厳しさが薪ストーブの暖かさを一層際立たせていた。 氏のもてなしは、暖かさだけでなく、人格の大きさや懐の深さを感じさせるものだった。お話を伺ううちに、外の世界とは対照的に、心地よく穏やかな時間が流れていく。 今回の訪問の目的は、3月に実施する茶事のイベントで使用する抹茶盌のお貸出しについての依頼だった。 まだ2回目の訪問でしかない私の厚かましいお願いにもかかわらず、氏は熱心にイベントの詳細を尋ねてくださり、まだ確定していない部分も多い中、私の考えを丁寧にお伝えした。 すると氏は奥様に向かって「あの抹茶盌を持ってきてほしい」と頼まれ、一つの抹茶盌が私の手元に渡された。 現在店頭でお預かりしている抹茶碗は、どれも個性豊かな作品ばかりだが、今回用意してくださった抹茶盌は、表現として適切かはわからないが、まるで清楚で美しい女性を思わせる佇まいだった。 和やかな雰囲気の中、氏の若い頃の破天荒なエピソードや、歴史・地理への深い造詣、長年の研究から導き出された哲学についてお話を伺い、貴重で楽しいひとときを過ごすことができた。 また、別件として弊社が依頼しているTENOHA MILANOでの展示についても話題に上がった。 昨日、別のチームが訪問していたこともあり、その件について改めて問い合わせを受けた。 限られた情報の中で丁寧に説明すると、氏は紙と鉛筆を取り出し、現在金津創作の森美術館に展示中の七点の作品をスラスラと描き上げてくださった。 そのラフスケッチは、特徴がしっかりと表現されており、温かみと力強さを併せ持つ素晴らしいものだった。...
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第5回 福井出張 1日目 ②
福井出張 1日目 昆布屋孫兵衛 2件目は、昆布屋孫兵衛さまへの訪問です。 ここでは井上徳木工の井上氏と待ち合わせ、昆布氏、井上氏、そして私の3者で打ち合わせを行いました。 今回のテーマは、第4回ポップアップイベントで提供するお菓子についてのご相談です。 昆布屋孫兵衛さまには、第1回目の福井ポップアップで商品を供給していただきました。 しかし、昆布氏が「何か面白いことをやりたい」という情熱をお持ちであることから、ただ商品を提供するだけでは、その想いに応えられないのではないかと考え、2回目と3回目のポップアップではお声がけを控えていました。 しかし、最後となる第4回目のポップアップでは、昆布氏に「面白い」と言っていただける企画を携えて、緊張しながらの訪問となりました。 井上氏の力を借りて製作したオリジナルの器「苔鈍(こけにび)」の色見本と形状見本をお持ちし、昆布氏に企画の詳細と担っていただきたい役割を丁寧に説明しました。 その結果、昆布氏から「とても面白い取り組み」と評価していただき、胸をなでおろしました。 その喜びが冷めやらぬまま、店頭に並ぶお菓子をついつい買い求めてしまいました。 そして、なんと昆布氏ご自身が製作されたケーキをお土産にいただくという嬉しいサプライズも! 今、ホテルの一室でこの原稿を書いていますが、打ち合わせの成功といただいたお土産の喜びが余韻として心に残っています。 これからそのケーキを味わうため、筆を置くことにします。
第5回 福井出張 1日目 ②
福井出張 1日目 昆布屋孫兵衛 2件目は、昆布屋孫兵衛さまへの訪問です。 ここでは井上徳木工の井上氏と待ち合わせ、昆布氏、井上氏、そして私の3者で打ち合わせを行いました。 今回のテーマは、第4回ポップアップイベントで提供するお菓子についてのご相談です。 昆布屋孫兵衛さまには、第1回目の福井ポップアップで商品を供給していただきました。 しかし、昆布氏が「何か面白いことをやりたい」という情熱をお持ちであることから、ただ商品を提供するだけでは、その想いに応えられないのではないかと考え、2回目と3回目のポップアップではお声がけを控えていました。 しかし、最後となる第4回目のポップアップでは、昆布氏に「面白い」と言っていただける企画を携えて、緊張しながらの訪問となりました。 井上氏の力を借りて製作したオリジナルの器「苔鈍(こけにび)」の色見本と形状見本をお持ちし、昆布氏に企画の詳細と担っていただきたい役割を丁寧に説明しました。 その結果、昆布氏から「とても面白い取り組み」と評価していただき、胸をなでおろしました。 その喜びが冷めやらぬまま、店頭に並ぶお菓子をついつい買い求めてしまいました。 そして、なんと昆布氏ご自身が製作されたケーキをお土産にいただくという嬉しいサプライズも! 今、ホテルの一室でこの原稿を書いていますが、打ち合わせの成功といただいたお土産の喜びが余韻として心に残っています。 これからそのケーキを味わうため、筆を置くことにします。
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第5回 福井出張 1日目
福井出張1日目 滝製紙所 福井への出張も今回で5回目。 今回の3日間の旅は、これまでお世話になった取引先へのご挨拶から始まりました。 顔なじみの皆様と再会するたびに、福井の温かさを改めて感じます。 初日のハイライトは、滝製紙所さまへの訪問。 3月に開催予定の第4回福井ポップアップで、最も重要な店装について瀧氏とご相談するためです。工房に到着すると、瀧氏がわざわざこの日のために用意してくださった和紙のサンプルが迎えてくれました。 こちらのイメージ通りの仕上がりに感動し、打ち合わせは終始スムーズに進行。 さらに、私が思いもよらなかった細部にまで心を配った提案の数々に、驚きと感謝の気持ちでいっぱいになりました。 店装のイメージが明確になり、ほっと一息ついたところで、次は店頭展開する商品のご相談です。 瀧氏からは、私の想像を超える素晴らしいアイディアと魅力的な商品を次々とご提案いただき、静かな興奮が心を満たしました。 これらの新しいサービスや商品は、第4回ポップアップで皆様にお披露目できるよう、これから準備を進めてまいります。 お楽しみに。 そして最後に、滝製紙所の工房を見学。外の冷たい空気が差し込む広々とした空間に足を踏み入れると、「ここであの美しい和紙が生まれるのだ」と感慨深くなります。初めての和紙製作現場ではないので、細部まではわかりませんが特別な道具が並んでいるわけではありません。それでも、なぜこれほど素晴らしい作品が生まれるのか——その答えは、やはり「人のセンス」にあると強く感じました。 瀧氏は、私が目指す姿の遥か先を走る、まさに理想の作り手。今回の訪問で、彼への尊敬の念が一層深まりました。 今はまだお伝えできないことも多いですが、たくさんのアイディアが形となり、g KEYAKIZAKAでお披露目される日が近づいています。 その日を、どうぞ楽しみにお待ちください。
第5回 福井出張 1日目
福井出張1日目 滝製紙所 福井への出張も今回で5回目。 今回の3日間の旅は、これまでお世話になった取引先へのご挨拶から始まりました。 顔なじみの皆様と再会するたびに、福井の温かさを改めて感じます。 初日のハイライトは、滝製紙所さまへの訪問。 3月に開催予定の第4回福井ポップアップで、最も重要な店装について瀧氏とご相談するためです。工房に到着すると、瀧氏がわざわざこの日のために用意してくださった和紙のサンプルが迎えてくれました。 こちらのイメージ通りの仕上がりに感動し、打ち合わせは終始スムーズに進行。 さらに、私が思いもよらなかった細部にまで心を配った提案の数々に、驚きと感謝の気持ちでいっぱいになりました。 店装のイメージが明確になり、ほっと一息ついたところで、次は店頭展開する商品のご相談です。 瀧氏からは、私の想像を超える素晴らしいアイディアと魅力的な商品を次々とご提案いただき、静かな興奮が心を満たしました。 これらの新しいサービスや商品は、第4回ポップアップで皆様にお披露目できるよう、これから準備を進めてまいります。 お楽しみに。 そして最後に、滝製紙所の工房を見学。外の冷たい空気が差し込む広々とした空間に足を踏み入れると、「ここであの美しい和紙が生まれるのだ」と感慨深くなります。初めての和紙製作現場ではないので、細部まではわかりませんが特別な道具が並んでいるわけではありません。それでも、なぜこれほど素晴らしい作品が生まれるのか——その答えは、やはり「人のセンス」にあると強く感じました。 瀧氏は、私が目指す姿の遥か先を走る、まさに理想の作り手。今回の訪問で、彼への尊敬の念が一層深まりました。 今はまだお伝えできないことも多いですが、たくさんのアイディアが形となり、g KEYAKIZAKAでお披露目される日が近づいています。 その日を、どうぞ楽しみにお待ちください。
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福井出張 2日目②
ー第4回目の福井出張手記:アートと伝統工芸品の融合 2日目-② ー 続いては福井工業大学へ。 母校というわけではないけれど、大学という施設に足を運ぶのは実に30年ぶり。 懐かしい空気が漂うキャンパスに一歩足を踏み入れ、ふくいアンテナショップ291プレミアムの3回目のテーマ「アートと工芸との融合」について、”AsCアーツ&コミュニティふくい”の浅野さまと坂田さまと打合せを行うことになりました。 打合せが始まると、浅野さまと坂田さまの温かい笑顔に迎えられ、会話はすぐに和やかな雰囲気に包まれました。 最初の話題は「越前和紙の定義」でした。 浅野さまは、越前和紙として作品を発表することに違和感を感じているとのこと。 この点について、坂田さまは伝統的な工芸品としての越前和紙と、ブランドとしての越前和紙の2つの側面が存在することをご説明いただきました。 ブランド化された越前和紙が現代においてどのように位置づけられるべきか、新たな命名や発信方法を模索する必要があるという結論に至りました。 私も、「越前和紙の文脈の中で新しい名前をつけるか、あるいは問いかけとして提示することで、より深い意味合いを持たせることができるのではないか」と提案し、話が広がっていきました。 越前和紙の歴史や技術とアートとして新しい作品が生まれる文脈について深い議論が交わされ、その素晴らしさに改めて感銘を受けました。 次に、展示方法についての議論に移りました。 浅野さまの作品構想は、漉いたばかりの和紙を福井県内のあらゆる箇所に貼り付けて乾いた後、剥がす。 剥がした和紙には写し取った壁、地面、柱、その他様々なモノが経てきた空気や質感の魅力を最大限に引き出す効果的な手法だと強調されました。 『福井県の空気』を持ってくると表現されました。 また、作品サイズについても話し合われ、900×900mmの大きな作品からA3サイズの小さな作品まで、多様な展示が計画されていることが確認されました。 展示の際にはフレームを付けず、購入者の要望に応じて額装する柔軟な対応も可能であることが共有され、実際の展示がますます楽しみになりました。 最後に、展示の記録の重要性についての話し合いがありました。 坂田さまは、展示物の制作過程や展示の準備の記録をしっかりと残すことが後々のプロモーションに役立つと強調され、浅野さまもこれに賛同。 私も、今後の広報活動やドキュメント制作に向けて、具体的な記録手法の検討が必要であると述べ、次のステップに進むことになりました。 ...
福井出張 2日目②
ー第4回目の福井出張手記:アートと伝統工芸品の融合 2日目-② ー 続いては福井工業大学へ。 母校というわけではないけれど、大学という施設に足を運ぶのは実に30年ぶり。 懐かしい空気が漂うキャンパスに一歩足を踏み入れ、ふくいアンテナショップ291プレミアムの3回目のテーマ「アートと工芸との融合」について、”AsCアーツ&コミュニティふくい”の浅野さまと坂田さまと打合せを行うことになりました。 打合せが始まると、浅野さまと坂田さまの温かい笑顔に迎えられ、会話はすぐに和やかな雰囲気に包まれました。 最初の話題は「越前和紙の定義」でした。 浅野さまは、越前和紙として作品を発表することに違和感を感じているとのこと。 この点について、坂田さまは伝統的な工芸品としての越前和紙と、ブランドとしての越前和紙の2つの側面が存在することをご説明いただきました。 ブランド化された越前和紙が現代においてどのように位置づけられるべきか、新たな命名や発信方法を模索する必要があるという結論に至りました。 私も、「越前和紙の文脈の中で新しい名前をつけるか、あるいは問いかけとして提示することで、より深い意味合いを持たせることができるのではないか」と提案し、話が広がっていきました。 越前和紙の歴史や技術とアートとして新しい作品が生まれる文脈について深い議論が交わされ、その素晴らしさに改めて感銘を受けました。 次に、展示方法についての議論に移りました。 浅野さまの作品構想は、漉いたばかりの和紙を福井県内のあらゆる箇所に貼り付けて乾いた後、剥がす。 剥がした和紙には写し取った壁、地面、柱、その他様々なモノが経てきた空気や質感の魅力を最大限に引き出す効果的な手法だと強調されました。 『福井県の空気』を持ってくると表現されました。 また、作品サイズについても話し合われ、900×900mmの大きな作品からA3サイズの小さな作品まで、多様な展示が計画されていることが確認されました。 展示の際にはフレームを付けず、購入者の要望に応じて額装する柔軟な対応も可能であることが共有され、実際の展示がますます楽しみになりました。 最後に、展示の記録の重要性についての話し合いがありました。 坂田さまは、展示物の制作過程や展示の準備の記録をしっかりと残すことが後々のプロモーションに役立つと強調され、浅野さまもこれに賛同。 私も、今後の広報活動やドキュメント制作に向けて、具体的な記録手法の検討が必要であると述べ、次のステップに進むことになりました。 ...

バイヤー飯〈福井編〉
福井県は御食国(みけつくに)と称されるほど、美食の宝庫として知られています。 この名は、福井が豊かな自然環境と伝統的な食文化に恵まれていることから来ています。 新鮮な海の幸や山の幸がふんだんに揃い、地域ごとに特産品が生まれることで、多様な味わいが楽しめるのです。 例えば、福井の海は、越前ガニや甘えび、鯖などの新鮮な魚介類が豊富で、これらを使用した料理は、地元の人々に愛されています。 さらに、福井の山々は、良質な米や野菜の生産地としても有名で、これらの食材が地元の料理に彩りを添えています。 しかし、仕事で訪れているため観光地を素通りするバイヤーは、反対にソウルフードをご紹介していただく機会に恵まれています。 こういった体験もぜひ、共有させていただきたく、ぜひ、ご案内させてください。 僕は訪れるまでは知らなかったのですが、福井はソースかつ丼の発祥地としても知られています。 地元の評判のお店では、サクッと揚げたかつに特製のソースをたっぷりとかけた一品が楽しめます。 一度食べたらクセになる味わいです。 お店によって仕上がりが異なり、今回の来福ではカツが箸で切れるほど柔らかいソースカツ丼に出会いました。 また、福井名物のおろしそばも外せません。 新鮮な辛みのある大根おろしと共に提供されるそばは、あっさりとした味わいで、暑い夏の日にもぴったり。 歯ごたえのあるそばと、爽やかな大根おろしのコンビネーションが絶妙です。 さらに、福井のラーメンもおすすめです。 福井駅前の商業施設ハピリン内にあるラーメン屋さんは、過去に何気なく入ったのですが、非常に美味しくて、福井出張の際には必ず訪れています。 しょうゆ、しおのどちらも美味しく、安心して楽しめます。 美味しい食べ物が揃う福井県を訪れれば、これらの地元グルメの名物料理をぜひ味わってみてください。
バイヤー飯〈福井編〉
福井県は御食国(みけつくに)と称されるほど、美食の宝庫として知られています。 この名は、福井が豊かな自然環境と伝統的な食文化に恵まれていることから来ています。 新鮮な海の幸や山の幸がふんだんに揃い、地域ごとに特産品が生まれることで、多様な味わいが楽しめるのです。 例えば、福井の海は、越前ガニや甘えび、鯖などの新鮮な魚介類が豊富で、これらを使用した料理は、地元の人々に愛されています。 さらに、福井の山々は、良質な米や野菜の生産地としても有名で、これらの食材が地元の料理に彩りを添えています。 しかし、仕事で訪れているため観光地を素通りするバイヤーは、反対にソウルフードをご紹介していただく機会に恵まれています。 こういった体験もぜひ、共有させていただきたく、ぜひ、ご案内させてください。 僕は訪れるまでは知らなかったのですが、福井はソースかつ丼の発祥地としても知られています。 地元の評判のお店では、サクッと揚げたかつに特製のソースをたっぷりとかけた一品が楽しめます。 一度食べたらクセになる味わいです。 お店によって仕上がりが異なり、今回の来福ではカツが箸で切れるほど柔らかいソースカツ丼に出会いました。 また、福井名物のおろしそばも外せません。 新鮮な辛みのある大根おろしと共に提供されるそばは、あっさりとした味わいで、暑い夏の日にもぴったり。 歯ごたえのあるそばと、爽やかな大根おろしのコンビネーションが絶妙です。 さらに、福井のラーメンもおすすめです。 福井駅前の商業施設ハピリン内にあるラーメン屋さんは、過去に何気なく入ったのですが、非常に美味しくて、福井出張の際には必ず訪れています。 しょうゆ、しおのどちらも美味しく、安心して楽しめます。 美味しい食べ物が揃う福井県を訪れれば、これらの地元グルメの名物料理をぜひ味わってみてください。

福井出張2日目①
ー第4回目の福井出張手記:熊野九朗右衛門氏との出会い 2日目-①ー 初めて熊野九朗右衛門さんにお会いした日は、僕にとって非常に緊張感のある瞬間でした。 彼の工房へと車を進めると、熊野さんはわざわざ外に出ていらして、駐車位置を丁寧に案内してくださいました。 事前に写真で見ていた彼の強面な印象とは違い、実際にお会いすると落ち着きがあり、アットホームな雰囲気で迎え入れていただきました。 奥様が隣に寄り添いながら、コーヒーとお茶を出してくださったときには、緊張も次第に和らぎました。 お話を進めるうちに、熊野さんの陶芸に対する深い考えが明らかになりました。 彼は、焼き物は単に使われる道具ではなく、「心に安らぎやエネルギーを与える存在」であるべきだと強調されました。 日常の器であっても、それがもたらす「オーラ」や「力強さ」が人々に影響を与え、見るだけでもパワーを与える存在であることが重要だと話していました。 「器の本当の仕事は、ただ使うだけでなく、見るだけでもエネルギーを与えてくれること」と彼は言います。 たとえば、コーヒーカップのような日常的に使用する器は、実際に使う時間は人生の中でほんの一瞬に過ぎません。 しかし、普段目にするその器が、私たちに静かな力を与え、エネルギーを注いでくれる。 そんな存在であることが大切だと彼は考えています。 この考えに僕は強い感銘を受けました。毎朝、毎晩、白湯を飲むために使っている、大変気に入っているマグカップがあります。 他の人からすると何の変哲もないマグカップかもしれませんが、僕はその色、形、佇まいにハマっており、他のものを使ったり、代わりのものが欲しいと思ったことはありません。 熊野さんが仰る通り、そのマグカップを使っている時間は毎日の中で数分ですが、烏滸がましいながらもセレクトを担当している僕にとっては、自分の目利きの判断の中心に存在するものとなっています。 それまで言語化できなかった思いが、熊野さんとのお話を通じて一気に腑に落ちました。 また、熊野さんの作品が持つ特有のオーラは、製作過程での厳しい試練を通じて得られるものだそうです。 彼の工房では、他の陶芸家が通常1250℃で焼成を終えるところを、それを「スタート地点」としてさらに高温で焼き上げます。 溶岩と同じように極限の熱を受けた器は、翡翠のような硬度と美しさを備え、その過程で器に生命力が宿ると彼は考えています。 彼の哲学に基づいた作品は、単なる日用品以上の存在となり、私たちの日々の生活に静かで力強い影響を与えるものとして輝いています。 熊野九朗右衛門さんの工房で過ごした時間は、陶芸の奥深さと彼の人生哲学を深く感じさせるものでした。 ...
福井出張2日目①
ー第4回目の福井出張手記:熊野九朗右衛門氏との出会い 2日目-①ー 初めて熊野九朗右衛門さんにお会いした日は、僕にとって非常に緊張感のある瞬間でした。 彼の工房へと車を進めると、熊野さんはわざわざ外に出ていらして、駐車位置を丁寧に案内してくださいました。 事前に写真で見ていた彼の強面な印象とは違い、実際にお会いすると落ち着きがあり、アットホームな雰囲気で迎え入れていただきました。 奥様が隣に寄り添いながら、コーヒーとお茶を出してくださったときには、緊張も次第に和らぎました。 お話を進めるうちに、熊野さんの陶芸に対する深い考えが明らかになりました。 彼は、焼き物は単に使われる道具ではなく、「心に安らぎやエネルギーを与える存在」であるべきだと強調されました。 日常の器であっても、それがもたらす「オーラ」や「力強さ」が人々に影響を与え、見るだけでもパワーを与える存在であることが重要だと話していました。 「器の本当の仕事は、ただ使うだけでなく、見るだけでもエネルギーを与えてくれること」と彼は言います。 たとえば、コーヒーカップのような日常的に使用する器は、実際に使う時間は人生の中でほんの一瞬に過ぎません。 しかし、普段目にするその器が、私たちに静かな力を与え、エネルギーを注いでくれる。 そんな存在であることが大切だと彼は考えています。 この考えに僕は強い感銘を受けました。毎朝、毎晩、白湯を飲むために使っている、大変気に入っているマグカップがあります。 他の人からすると何の変哲もないマグカップかもしれませんが、僕はその色、形、佇まいにハマっており、他のものを使ったり、代わりのものが欲しいと思ったことはありません。 熊野さんが仰る通り、そのマグカップを使っている時間は毎日の中で数分ですが、烏滸がましいながらもセレクトを担当している僕にとっては、自分の目利きの判断の中心に存在するものとなっています。 それまで言語化できなかった思いが、熊野さんとのお話を通じて一気に腑に落ちました。 また、熊野さんの作品が持つ特有のオーラは、製作過程での厳しい試練を通じて得られるものだそうです。 彼の工房では、他の陶芸家が通常1250℃で焼成を終えるところを、それを「スタート地点」としてさらに高温で焼き上げます。 溶岩と同じように極限の熱を受けた器は、翡翠のような硬度と美しさを備え、その過程で器に生命力が宿ると彼は考えています。 彼の哲学に基づいた作品は、単なる日用品以上の存在となり、私たちの日々の生活に静かで力強い影響を与えるものとして輝いています。 熊野九朗右衛門さんの工房で過ごした時間は、陶芸の奥深さと彼の人生哲学を深く感じさせるものでした。 ...