10年に1度といわれる寒波が巻き起こす大雪の日、雪に覆われた道を進みながら、山田 大氏のもとを訪れた。
今回迎えてくださったのは、ご自宅の一室。
厳しい寒さの中にもかかわらず、温かく迎え入れてくださった山田氏。
部屋には、父である山田 和氏と共に築き上げた陶芸の作品が息づいていた。
山田 大氏は、桃山陶をベースにした志野・瀬戸黒・伊賀・南蛮などを手掛け、自ら築いた穴窯で独特の焼成を施している。
その作品は、古陶のような重厚な風合いと、時代を超えた美しさを併せ持つ。
彼は「本物の志野」を追求し続け、食や文化、人との関わりにまで思索を巡らせることで作品に奥行きを与えていた。
彼の作品に触れながら、一つの道を究めることで、自然と他の分野にも審美眼が養われるのではないかと感じた。
陶芸のみならず、食や文化への広範な視点を持ち、学びを深めることで作品に新たな表情を生み出している。
その姿勢が、単なる器作りを超えた芸術的探求へと繋がっているように思えた。
また、彼との対話は、理論的でありながらも情熱に満ち、作品に込めた想いや背景を深く知ることができる貴重な時間だった。
さらに、こちらの意図を汲み取り、快く提案をしてくださる柔軟さと優しさも感じられた。
帰り道、降り積もる雪の中で、彼との静かで豊かな時間を思い返した。
単なる打合せの場ではなく、思索を交わす場。
その変化を内包し続ける山田氏の作品が店頭に並ぶことを心から楽しみにしつつ、次に訪れる日を待ち望む気持ちになった。