福井出張2日目 森國清寛氏のもとへ
出張2日目、私は刀鍛冶・森國清寛氏を訪ねました。
年間24本しか打てないという厳しい制約の中で、氏はお一人で製作を続けており、その上限に達することは決して容易ではありません。
しかし、氏の手から生み出される作品は、刀という枠を超えてもなお、圧倒的な存在感と力強さを持っています。
今回の訪問は、そんな氏の作品を刀以外の形でも表現できないか、ご相談することが目的でした。
氏とは、第3回目のイベントでご縁をいただき、作品をお貸しいただいた経緯があります。
今回も第4回目のイベントに向け、再び氏の作品をお借りするお願いを兼ねての訪問です。
今回、氏の手元にあるモデルとなる刀を拝見させていただきました。

前回お借りした刀は繊細で優美、正に美術品としての洗練された印象が強いものでしたが、今回は鎌倉時代に作られた太刀の写し。
厚みのある刀身は、まさに実戦を想起させる力強さを感じさせ、ほんの数センチの違いでここまで印象が変わるのかと、素人目にもその迫力が伝わってきました。
また、今回の訪問では、玉鋼から刀へと鍛え上げる工程の中で生まれる"区切りの産物"についてもお話を伺いました。
通常、これらは商品として表に出ることはありませんが、実際に拝見したその素材は、玉鋼の持つ独特の表情と、変容していく過程の痕跡が生きており、まるで無機物でありながら有機物のような生命感を感じさせるものでした。


氏の手の跡が如実に残るその素材は、私の想像力をかき立て、すでにいくつかのアイディアが浮かび上がっています。
氏とも相談の上、数点をお預かりすることとなり、第4回目のイベントでは新たな形として皆さまにお披露目できるよう準備を進めていく予定です。
森國清寛氏の一流の仕事は、こちらの素人考えを軽々と凌駕する素材と可能性を秘めており、今回の訪問は非常に貴重な学びとインスピレーションの機会となりました。